こんにちは天狗の手です。
今回から3回にわたり腰痛について学びましょう。
腰痛には大きく分けて3つの原因があります。
①背骨の支えが弱い
②内臓下垂
③膝の支えが弱い
の3つです。
私たちの体の仕組みは本当に面白くて、たくさんの方々の症状と関わるたびに「本当によくできているなあ」とつくづく感心します。
痛いから即薬、注射、もみほぐしではなく、なぜ痛いのかを知ることが大切です。
痛みはどこに出る痛みも全て先生です。「ここがおかしいですよ!」と教えてくれています。
先生の教えを無視し続けると、必ず後で手酷いしっぺ返しが待ち受けています。
痛みは私たちに何を教えてくれようとしているのでしょうか。
ただ、痛みを取るだけではなく、痛みの出ない体を作る。それが筋膜ラボラトリーの一番の目的です。
それでは始めましょう。1回目は背骨の支えが弱い。
皆さんはご自分の背の高さを毎年測っていますか?
若い頃と比べてどうですか。背が数センチ縮んだ!なんてことはないですか?
なぜ背が縮むのでしょうか。「姿勢が悪いから」。そうですが、なぜ、姿勢が悪くなるのでしょうか。
もっと言うと「姿勢」とは一体なんなのでしょうか。
人の持つ機能の観点から説明していきます。
私たちには7個の首の骨と12個の胸の骨、5個の腰の骨という24個の背骨が付いています。
その背骨と背骨の間には椎間円板という軟骨があり、この中には髄核(ズイカク)というゼリー状のクッション材が入っています。
背骨を支えるために何本もの靭帯が頭蓋から骨盤まで背骨に寄り添いついています。
更に最も深部では多裂筋という背骨の筋肉がやはり背骨を支えています。
この筋肉は特殊で脳からの命令ではなく、土踏まずの「バランスをとる」という刺激に反応してお腹に力を入れさせる役割を持っています。
筋肉や骨、靭帯などの体を動かすための組織を総称して「運動器」と言います。
運動器の老化は二十歳から始まります。
靭帯や軟骨の主成分である「コラーゲン」が体内で生成されにくくなっていくからです。
そして、35歳くらいで蓄積されていたコラーゲンを使い果たし、本格的な老化に突入します。
この頃には背骨の椎間円板の髄核が外側の繊維と一体化し、クッションとしての役割が低下します。
30歳を超えたあたりから体が硬くなる、背中がバリバリと痛くなるなどの症状の訴えが急増するのはそのためです。
軟骨だけではありません。靭帯の柔軟性も失われます。靭帯の主な仕事は関節可動の抑制。
関節が動きすぎないように支えてくれる柱でもあります。抑制の機能が弱まることで関節の安定性が低下します。
ええ!?軟骨も靭帯も弱る?では、誰が背骨を支えるのか!最後の頼みの綱は多裂筋。多裂筋はどうでしょうか。よく言われるように腹筋や背筋を鍛えれば腰痛は取れるのでしょうか。
説明したように多裂筋は土踏まずの「バランスを取る」という刺激に反応して働きます。
ところが私たち現代人は舗装されたアスファルトを靴を履いて歩くため、土踏まずにはほとんど刺激が入りません。従って多裂筋も期待できない。
はい。背骨から来る腰痛の完成です!