こんにちは天狗の手です。
腰痛講座、腰痛の原因についての最終回は③膝の支えが弱い。
なぜ、膝の安定と腰痛が関係するのかそれをご理解いただくために、まずは膝の説明から。
膝は大腿骨という太ももの骨と脛骨という膝下の骨、そして膝蓋骨という膝の皿から成っています。
立っている時、膝の関節はキュッと締まり鍵がかかったような状態になります。だからこそ筋肉に頼らず長時間立つことができるのです。
膝蓋骨はその鍵の役割を果たします。
こんな経験は無いですか?
子供の頃、立っている時に後ろから友達に膝裏に膝を当てられ、ガクッとなったこと。「膝カックン!」なんて言ってましたっけ。
ご存知ですか?あれ、1、2歳の歩き始めた赤ちゃんにやってもビクともしないことを。
赤ちゃんの運動神経はパーフェクトです。あんなに重たい頭を小さな足で支えているのですから、それはそれは凄まじい姿勢保持力です。
少し前にハノイの幼稚園で年長さんをターゲットに「姿勢と健康」の講座を行いました。その時の先生の一人が当日参加の1歳に満たない赤ちゃんでした。
赤ちゃんの姿勢の美しさとハイハイのメカニズムに子供達は感動していました。
姿勢の悪い赤ちゃんはいません。それはなぜか。
遺伝子に従い、正しい姿勢を手に入れるためにトレーニングの真っ最中だからです。
赤ちゃんは生まれた時はグニャグニャ。生まれてから泣いたり寝返りを打ったり、ハイハイやつかまり立ちを行いながら「姿勢」を身につけていきます。
「姿勢」とは私たちがこの地球で重力に逆らい立ったり歩いたり日常生活運動を行うために必要な運動神経のことを言います。
「正しい姿勢」とは、背筋を伸ばす、顎を引くなどの意識的に行う見た目の保持ではありません。
遺伝子に組み込まれた、体を支えるための機能が正常に働いていることを「正しい姿勢」というのです。
膝の仕組みもその一つ。
ところが、せっかく3歳までに身につけた正しい姿勢を身につけたそばから私たちは失っていきます。
ストレス、同じ姿勢の繰り返し、偏った運動。様々な理由で私たちの姿勢の機能は低下します。
膝を構成する大腿骨において、膝は土台です。しかも、膝蓋骨は膝の鍵の役割だけでなく、股関節を効率よく動かすテコの役割も果たします。
そのため、膝の鍵がゆるいと股関節の痛みや股関節を安定させる筋膜があるお尻周りの痛みや痺れにもつながります。
また、土踏まずから多裂筋への刺激も膝が安定していないと弱くなってしまい、背骨が安定しません。
関係無いように思いますが、膝が安定していないと腰痛や座骨神経痛の原因になるのです。
ここまで腰痛の3つの原因について学びました。
一口に腰痛と言ってもこのように様々な原因があります。
また複合で出る場合もあり、一つ一つ丁寧に根本原因から取り除いていく必要があるのです。
痛みがあるから薬で抑える、温める、筋トレをする、ストレッチをする。その前に原因を知りましょう。
あなたの腰痛の原因があなたの友人の腰痛と原因が異なるなら、同じことをやっても痛みは取れません。
次回からは実際の症例と共に学んでいきましょう。